モチベーション心理学1 モチベーションを奪う方法は意外に簡単?

09/03/03 | By: 村中直人

モチベーションを心理学的に考えるときにかなり重要なポイントがあります。

それは、 「モチベーションの全てについて説明できるような理論なんて存在しない!!」 ということです。

それだけモチベーションというものが扱う領域は広く、また複雑なものであると言えるでしょう。

しかしだからといってモチベーションの理論に意味がないということにはなりません。

それぞれの理論が「ある時、ある状況での人の気持ちの動き方」についての説明を行ってくれており、

それらは多くの場合かなり精緻化されてきています。

理論はツールなので要は使いようなのです。

ということを踏まえた上で第一回は 「」を取り上げたいと思います。

『学習性無力感』

セリグマンと言う心理学者が犬を使って行った非常に有名な実験があります。

実験を要約するとこういうことです。

①まず犬を縛り、逃げられない状況にして不快な電気ショックを与る

②逃げ出そうとする努力をしなくなるまで電気ショックを与え続ける

③逃げだそうとしなくなったら今度は縄を解き、自力で脱出できる状況にする

④脱出出来る状況で電気ショックを与える

このような手順で電気ショックを与えられた犬はうずくまったまま、

ひたすら電気ショックに耐えその場から逃げだそうとしかなったそうです。

もちろん最初から自力で脱出できる状況で電気ショックを与えられた犬はすぐさま逃げ出します。

このような結果を受けてセリグマンはこういった状況を『学習性無力感』と名付けました。

つまり環境要因によって「無気力、うつ状態」になってしまったと考えたのです。

もちろんこの実験は犬を用いたものであり、この結果をそのまま人間に当てはめるのは少し無理がありますが、

人間についてもある程度のことが言えることが確かめられています。

この古典とも言える心理実験は『人がやる気をなくしてしまうメカニズム』について

なかなかに説得力のある説明をしてくれているのです。

ポイントは心理学の言葉で言う「」にあります。

ややこしいので説明しますと、まず「随伴生」とは「行動と結果が結びついている」ということです。

「行動と結果が結びついていると感じられる」感覚と言ったほうが正確かも知れません。

セリグマンの実験は人間のやる気にとって、この随伴生の感覚が非常に重要であると主張しています。

実験でも、自らスイッチを押して電気を止められる環境でショックを与えられた犬は無気力にはならなかったそうです。

つまり「つらいこと、いやなこと」そのもののよりも、

「つらいこと、いやなことが自分の行動ではどうにもならない、コントロールできない」と感じることが、

人のやる気を奪っていく、ということなのです。

さて今回は学習性無力感をとりあげて「人がやる気をなくしてしまうメカニズム」についての一例をお話ししました。

次回は「ではどうすれば人はやる気になれるのか」についてのコラムをお送りしたいと思います。

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